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【エキスポランド事故・続報】
エキスポランドのローラーコースター「風神雷神Ⅱ」で起きた死亡事故で、「破損した車軸は破断面が金属疲労による特徴を示していた」こと、「車軸は15年前に運行を始めてから一度も交換されていなかった」こと、「例年1月に行っていた解体検査を延期し今月15日から実施する予定であった」ことなどが続報として報じられています。エキスポランドの関係者は風神雷神Ⅱを含め、園内すべての遊具で金属疲労の検査を一度もしていなかったことを明らかにしており、「判断が甘かった」と謝罪しています。
【ジェットコースターの安全管理】
ジェットコースターは建築基準法に基づく工作物という扱いであり、設置時に建築確認や完了検査が義務付けられているほか、年に一度の定期検査が義務付けられています。ウォーターシュートなど高架の遊戯施設やメリーゴーランド、観覧車、オクトパス、飛行塔等の回転する遊戯施設も同様です。ただし検査・報告内容は装置各部分(「台車・車輪装置」など)についてA「良好」B「要注意」C「要修理」の3段階評価するものでしかありません。また具体的な検査方法や内容については、報告を受ける側の特定行政庁(知事、市長)は具体的に規定しておらず、資格者(昇降機検査資格者)に一任しているようです。
エキスポランドではこの義務付けられている定期検査報告のほかに、自主的に解体検査を毎年行っていました。報道されている延期された検査とは、この自主的な解体検査のことを指します。法令に基づく検査報告は形骸化したものでしかないので、施設側はメーカーや保守管理会社と協議しながら、自主的な安全管理対策を施していたようです。ただし、コースターの車軸が折れて脱線するという事故は過去に例がなく、予定通りに解体検査が行われていても金属疲労による破断が進んでいたことを事前に察知できたかどうかは判りません。
いずれにせよ遊園地の遊戯施設は形式的な年一回の検査報告が義務付けられているだけで、それ以上の安全管理は施設任せという、文字通り極めてスリルのある乗り物と言わざるを得ないようです。
近年国内で起きたジェットコースターの死亡事故
- 1984.10 東京ディズニーランド「スペースマウンテン」/急性心不全で老婦人が死亡
- 1985.3.11 石川県「宙返りコースター」/飛び出した乗客が誘導係と激突死
- 1987.6 東京ディズニーランド「スペースマウンテン」/脳溢血で男性が急死
- 1990.4 東京ディズニーランド「スペースマウンテン」/乗客が事故死
- 1990.9.27 東京サマーランド/安全バー不調で点検中の係員が事故死
- 1991.10.19 東京サマーランド/軌道内に入り込んだ男性が轢かれ死亡
- 1997.12.13 三重・志摩スペイン村「グランモンセラー」/点検中保守作業員が跳ねられ死亡
- 2004.8.31 福島・郡山カルチャーパーク/試運転中作業員が転落死
近年国内で起きた主な遊園地での死亡事故