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【事故概要】
16日午後4時20分ごろ、神奈川県平塚市東中原1丁目のスーパー「西友平塚店」のスロープ式エスカレーターで、小学3年の男児が手すりのベルトと危険防止用アクリル板との間に頭部を挟まれ、意識不明の重体となりました。男児は地下1階から1階に向かう上りエスカレーターの外側に50円玉を落とし、手すりから身を乗り出して覗き込んだところ、手すりのベルトと固定式のアクリル製保護板との間に頭部を挟まれたものです。(写真:事故のあった西友平塚店のエスカレーター)
【事故概説】
エスカレーターは今回の手すりによる挟み込み事故を始め、転落事故やステップ収納部の挟み込み事故が頻発しています。東京消防庁によると管内だけで年間1000件にのぼる事故報告があるそうです。そして最近もステップの破損した蹴込み部分にサンダルの指が挟まれ切断するという事故がありました。段差のある階段でも転落事故の危険性があるうえに、それが可動するのでさらに危険性は高まります。さらにそのステップの伸縮・収納部分でも事故が起きる可能性があります。手すりは体を支え転落を防ぐものですが、過去にはこの手すりだけが急に止まってしまったことにより乗っていた人が将棋倒しになるという事故も起きました。また何かが起きたときにセンサーで停止するようになっていますし、緊急停止ボタンもついていますが、人が乗っているときに急に停止すると慣性により転倒事故が起こりかねません。構造上大変危険なを孕んでいると言えるのかもしれません。
【挟み込み事故の防止策】
エスカレーターではそうした事故を防止するために安全を呼びかける案内板やアナウンスが設置されているほか、特に手すりと壁面との挟み込み事故を防止するためのガード板が設置されることが義務付けられています。以前は可動式のアクリル板のみが設置されていましたが、2000年の建築基準法により可動式のガード板の他に固定式のガード板の設置が義務付けられました。これによりガード板は可動式と固定式とが二重に設置されるのが一般的になってきています。
事故の起きたエスカレーターのガード板が建築基準法に定められた長さを満たしていなかったとの報道もあります。ただし可動式のガード板の長さを確保することは有効であるとは思うのですが、固定式だと単に新たな壁を作り出すだけのことになりますから、このガード板自体が本当に効果的なのかどうか疑問です。
挟み込み事故を防ぐ方法としてはガード板は壁面の接近を使用者に知らせるアナウンス効果しかなく、根本的に事故を防止する方法ではないと思います。ガード板の設置は既に設置されているエスカレーターに安全対策を施した後付けのバッチ処理に過ぎず、根本的に防ぐためには手すり部分と壁面との間に人が挟まれないだけの余裕(50センチもあればかなり安全であると思われます)を持たせなくてはならないでしょう。ただしこの場合、挟み込み事故を防ぐことには有効でも、今度は手すりから身を乗り出して転落するという危険性が高まります。
またエスカレーターの途中に上階の壁面(下階の天井)が現れることが問題なので、スペース的に壁面とエスカレーターの間に余裕を持たせることができない場合には、最初から人が挟まれるスペースがないように階下部分から連続した壁面を設置してしまえば良いと思います。部分的なガード板でなく、全体をガードする壁面にしてしまえば良いのです。
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