ekiden_racer2007-12-09

【事故概要】
9日正午過ぎ、東京都目黒区の医師(39)自宅でライフル銃が暴発、2歳児が死亡した。自宅一階応接間で医師が8日に使用した競技用クレー射撃用のライフル銃4丁の手入れ中、道具を取りに隣の部屋に行った隙に5歳の長男と2歳の次男が応接間に入り込み、5歳長男がライフル銃を触っていたところ銃が暴発、2歳の次男の右胸部に銃弾が当たり、病院に搬送されたが1時間半後に死亡が確認された。

【事故原因】

  1. ライフル銃の手入れ中に管理者である医師が目を離し部屋を離れたこと
  2. ライフル銃の中に銃弾が充填されていたこと
  3. ライフル銃の手入れを子どもの生活範囲内である自宅応接間で行っていたこと

【考察】
幼児にもしてはいけないことの判断はつくものの、絶対触ってはならないという禁忌が存在することでそれは魅力的なものということになる。つまりしてはいけないことだからしたいという動機が子どもには生じるものである。
従って5歳の長男にしてみれば触ってはならないとされるライフル銃が放置されている状況というのは、千載一遇のチャンスと目に映ったものと思われる。また銃がその形状から構えて引き金を引けば銃口から弾が発射されることは容易にイメージできるため、意図して何かに銃口を向けるということは、判断力のない幼児にはより起こりえるものと思われる。
従って医師はライフル銃の手入れをするのであれば子どもたちが出掛けて家にいない状況で行うか、或いは昼寝・就寝したことを確認したうえで行うべきものであった。家庭内に5歳と2歳の男児がいるという状況でライフル銃の手入れを行うことは絶対にするべきことではなかった筈だが、過去にもそうしていたことがあった為かそうした銃を扱ううえでの慎重さに欠けていた側面は否定できない。
5歳児がライフル銃に銃弾を充填することは考えづらいので、銃には最初から銃弾が充填されていたものと推測することが自然である。前日使用した際に銃弾を抜くことを忘れていたのか、それともそのことを知っていたが次回に使用する際に備えて充填したままにしておいたのかは判らないが、銃弾を充填したまま持ち運ぶことは危険であるので普通は考えづらい。従って、医師は弾が充填されたままであることを知らなかったのではないかと推測される。だとするとそうした安全確認意識が医師に欠けていたということになるだろう。これは手入れを始めてから道具が足りないことに気づいて部屋を離れたということと併せ、医師の安全管理意識の欠如ということになる。
そもそも子どもの生活の場である自宅応接間にライフル銃を持ち込んだことが今回の事故を誘引した最大の原因であると思われる。仮にも自宅でライフル銃を扱う際には、部屋に施錠するなど子どもとライフル銃とを遮断することが必要であった。日頃ライフル銃を施錠できるロッカーに保管していたとしても、その手入れを施錠していない部屋で行うのであれば鍵をかけるということの意味が損なわれてしまう。

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